クロアチアという国で出会った自分-Moja druga domovina-

未知なる世界に臆することなく / Bez da se plašim nepoznatog svijeta

18. Loša nije osoba, već virus (真悪はウイルス)

地震からしばらく経った4月中旬-

 

街は活気を失っていた。

コロナウイルス以前は平日・休日関わらず街中は

毎日賑わっていた。

公園で友人たちと屯して話している、カフェで寛いでいる、バーやクラブで大騒ぎしている、そんな光景がザグレブの街から姿を消した。

みんな今まで経験したことのないストレスだろう。

 

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その影響なのか、より一層クロアチア人の

アジア人に対しての嫌悪感が増していってる様に感じた。

コロナウイルスは人間の体を壊すだけでなく

人間の心までも、人格までも変えてしまう恐ろしいウイルスだ。

 

実際に心無い言葉を浴びせられる友人もいた。

大使館から届くメールや日本人の友人達から聞く話は

どれもクロアチア人のイメージを下げるのには容易なものだった。

 

俺も高校生くらいの5,6人の子達からトラムを待っているときに

『Hej, コロナ!』と言われた。

無視できなかった。

俺は『šta se rekao ?』、『Pxxxx tx mxxxxxxx !』と言った。

すると驚き焦った様子で『あ、クロアチア語話せるの?』、『Im Corona!!』とのこと。

・・・・このチキン野郎共が、と思いつつもカワイイとも思った。

結局その後なぜか仲良くり、みんなでタバコを吸いながら話しこんでた。

それにちゃんと謝ってもくれた。

 

 

しかし今回の一件やアジア人に対しての心無い言動に対して

もちろん怒りを覚えたが、同時に悲しくもあった。

 

当然彼らのしたことは良くない、がしかし本当に悪いのは

この状況を生み出したウイルスであって

彼らも同じ被害者だ。

これが逆の立場であった際、直接差別的な言動はしないものの

俺は蔑むような、忌み嫌うような目で見てしまうと思う。

 

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今回はたまたま留学にきて、

クロアチアで生活させてもらっている立場だから仕方がないとも思ったし、

俺の仲良くしているクロアチア人の友達はみんな良い人ばかり、だと

そう思わないと怒りや憎しみが増し、

クロアチア人のことを嫌いになってしまいそうだったことも事実。

 

 

なぜこんなことに、と毎日考えていた。

精神的にも限界寸前。

良いことも悪いことも毎日考え、答えのでない問いを自問自答し

とてもポジティブでいることはできない状況だった。

 

正直もういいかな。とも悟ったような時期もあった。

あの時は持ちこたえるのに必死だった。

 

 

Vidimo se ! (またね)